【音声読み上げ】
スポーツ観戦で健康~脳と身体への影響~
スポーツは「する」だけではなく、「見る」だけでもその健康効果を得られることをご存じだろうか?
スポーツ中継で「手に汗握る」という言葉を聞くことがある。接戦に興奮している様子を表しているが、見ているだけの観客も、試合の興奮や緊張で、汗ばんでいることがある。観戦中に血圧や心拍数、ホルモン値などが変化している。見ているだけの人間も、あたかも自分がプレーしているかのように感じて、身体も反応しているのだ。
スポーツで勝利した選手は、試合後に男性ホルモンの一種であるテストステロン値が高まるという。男性ホルモンのテストステロンは、競争をするときに上昇し、勝者はテストステロンの上昇が維持される。このテストステロンの上昇の維持によって、勝者はさらに積極的な行動を起こすことができる。このテストステロンの上昇は「見る人」にも当てはまる。
1994年のFIFAワールドカップ決勝で、試合を観戦した人のホルモン値の変化を調べた研究がある。この大会の決勝はブラジル対イタリア。0−0のまま決着がつかず、PK戦で勝負が決まった試合だ。ファンにとっては、これ以上ないくらい興奮する状況です。それぞれテレビで試合を観戦していたファンの男性の唾液を採取し、テストステロン値を調べた。優勝したブラジルを応援していたファンのテストステロン値は高いままだったが、負けたイタリアを応援していたファンのテストステロン値はやや低くなっていたという。
頭の中でも、自分が実際にやっているかのように反応している。脳のミラーニューロンと呼ばれる神経細胞群がある。選手がプレーしているのを見ることも、自分がプレーしていることと同じになる。といった現象がおこる。
サッカー観戦は健康に良い可能性があるという研究結果がある。応援しているチームの勝利を見ることは、90分間、早足で歩くのと同程度の身体的負荷がかかり、勝利を見届けた場合は24時間にわたり高揚感が続くという。
アスリートによる素晴らしいパフォーマンスが心地良い高揚感を与えて、心身の不調を吹き飛ばしてくれる。薬ではない天然のテストステロン剤ではないだろうか。
参照 REAL SPORTS